本棚のある生活

一日一冊読んだ本の記録

乙女の東京

 

 まだ東京に引っ越してくる前、この本を何度となくみていた。

東京に遊びに来た時は、この本をめくりながらどこに行こうか考えていた。

東京に来て何年経っただろう。

いつの間にかこの本を開くことは無くなっていた。

それは多分、本を開いて憧れる時間よりも、

今まで憧れていたものに会いに行くことに時間を使うようになったから。

この本の表紙になっている包み紙のお店にももう何度も行っている。

東京に来てから、図書館に行くことも無くなっていた。

あんなに毎日のように訪れて本棚の端から端まで眺め、

いくつもの本からたくさんの憧れを見つけていたのに。

 

先日ふと思い立ち、住んでいるところから一番近くにある図書館に行ってみた。

大好きだった表紙を見つけて開いてみると、意外にもまだ訪れていない場所がたくさん載っている。中にはもう無くなってしまったお店も。

記憶は薄れるものだ。

いつまでもあると思っていたものも、実はそうではなくて無くなってしまうこともある。

 

まだ行っていないお店にも行っておきたい。 

そしてまた、本棚からたくさんの憧れを見つけたい。

そう思った。